好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】


「れ、黎?」
 

腕を引く黎は黙ったままだ。


何も言わずに廊下を突き進む。


もしかして怒らせてしまっただろうか……真紅の中で淋しさが不安にすり替わる。
 

黎は奥まった場所にある扉を開けた。


プレートにはスタッフルームと書いてある。
 

音を立てないように扉を閉めた黎は、感情を映さない瞳で真紅を見下ろして来た。


「あ、の……?」


「もー無理」
 

真紅の背中と後頭部に腕を廻して、上向かせるように抱きしめて来た。


勢いのまま口づけられる。


「っ?」
 

怒っているのではないのか? 


黎は何も言わずに口づけを繰り返す。


真紅はただ黎にされるがままだ。

< 226 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop