好きになった子は陰陽師になった。ーさくらの血契2ー【完】
烏天狗は妖異の中でも高位の妖だと聞いた。
その総てを、黒藤は降伏させたのだ。
黒藤の力は桁違いだ。
しかし、配下となっただけで、式に下ったわけではない。
黒藤の式は三基だけだ。
「黎は黒ちゃんのこと、どのくらい知ってるの?」
「黒藤か? 本家筋の奴のくせに放浪癖があるとか、正統後継者のくせに家のことは投げたとか。
小埜は分家だから、宗家(そうけ)の噂程度に黒藤のことは聞いていた。
小埜のじいさんのこと訪ねてきたことがあって、それ以来顔見知り程度だな」
深くは知らないし、親しいわけでもない。
黎の言葉を聞いて、真紅はふーむと頭の中でうなった。
ということは、黎は白桜のことはもちろん知らないのだろう。