お願い!嫌にならないで
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「ごめんなさいっ」
カーテンの隙間から陽の光が射し込むベッドの上にて、水野さんが土下座をしている。
ちなみに、俺は寝起き直後だ。
「──え? 大丈夫、大丈夫。それより、ちゃんと体は休まりましたか」
「そ、それは、もうぐっすりでした」
「それなら良かった」
俺が笑いながら心からそう言っても、水野さんの不安そうな表情は消えない。
「ほ、本当にごめんなさい! 私、寝てしまうなんて……」
俺は特に気にしていないのだが、水野さんが気にしてしまっているのは、そういうことだ。
昨夜、リビングから寝室に移動した後、一緒にベッドへ入り、彼女の要望通り、体を抱き寄せた。
はじめの内、俺達はなかなか寝付けず、他愛も無い話をしていたが、徐々に何だか良い雰囲気になり……。
良い雰囲気になり、夢中でキスを落としているうちに、彼女が気持ち良さそうに眠っていた、ただそれだけのことだ。
うん、そう、それだけのこと。
頭の整理をしていたら、昨日の甘い雰囲気を思い出し、頭が冴える。
「全然っ。気にしないでください。それに、安心して寝てしまうほど、俺のこと信じてくれてるってことですもんね」
「そうです」
「即答ですね」
「昨日の夜、誓い合いましたから……」
冗談めかして言ったことでも、信頼、信用されていることが嬉しくて、自然と声を出して笑ってしまう。
水野さんと視線を合わせると、いつも目を逸らされることが多いのに、今だけは逃げられず、見つめ合う形になった。
墨色の瞳に目を奪われ、ドキッとする。