お願い!嫌にならないで



******



「ごめんなさいっ」



カーテンの隙間から陽の光が射し込むベッドの上にて、水野さんが土下座をしている。

ちなみに、俺は寝起き直後だ。



「──え? 大丈夫、大丈夫。それより、ちゃんと体は休まりましたか」

「そ、それは、もうぐっすりでした」

「それなら良かった」



俺が笑いながら心からそう言っても、水野さんの不安そうな表情は消えない。



「ほ、本当にごめんなさい! 私、寝てしまうなんて……」



俺は特に気にしていないのだが、水野さんが気にしてしまっているのは、そういうことだ。

昨夜、リビングから寝室に移動した後、一緒にベッドへ入り、彼女の要望通り、体を抱き寄せた。

はじめの内、俺達はなかなか寝付けず、他愛も無い話をしていたが、徐々に何だか良い雰囲気になり……。

良い雰囲気になり、夢中でキスを落としているうちに、彼女が気持ち良さそうに眠っていた、ただそれだけのことだ。

うん、そう、それだけのこと。

頭の整理をしていたら、昨日の甘い雰囲気を思い出し、頭が冴える。



「全然っ。気にしないでください。それに、安心して寝てしまうほど、俺のこと信じてくれてるってことですもんね」

「そうです」

「即答ですね」

「昨日の夜、誓い合いましたから……」



冗談めかして言ったことでも、信頼、信用されていることが嬉しくて、自然と声を出して笑ってしまう。

水野さんと視線を合わせると、いつも目を逸らされることが多いのに、今だけは逃げられず、見つめ合う形になった。

墨色の瞳に目を奪われ、ドキッとする。
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