長い夜の終わりにキスを
「だけどそれがどうしたんだ?」
ついにオルトさんが口にだした。そして依然目を瞑り何も言わないアベル君。
「...そのユーカリアから発せられる花粉とニジイロアゲハの鱗粉が混ざることによって...人体に有害な毒素が発生するんです。」
オルトさんが目を見張ったのがわかった。
「取り込んだが最後、1年ほどで必ず死に至るといわれている死病の一つ。それが6年くらい前から、この国の国境の近くの他国をはじめに、発症しているのが少しずつ隣国、そしてこの国でも報告されていた。」
合っていますよね?と呟きながらギルドマスターに目をやる。
「...うむ。」
「今までは隣国での発生だったから、たいして気にも留めていなかったんだと思います。でも...」
「ついに、この国内でもその発病者が発見されたのじゃ。」
言い淀んでいたのを気づいたのか、マスターがそう言葉を続けてくれた。
「...そして、その死病を治すには【命の花・リーファシリア】しか方法がない。...というよりは、もう手がないんだと思う。」
―——【命の花・リーファシリア】
その花弁をすり潰して飲むと、どんな病でも傷でも治せてしまうと言い伝えられ、薬学書や花の図鑑にも載っている。
―——そんな、神話が混じったような花。...正直、私は半信半疑の存在だった。
