愛し紅蓮の瞳
紅蓮に愛を求めては行けないと頭では分かってるつもりなのに、心は思い通りには動いてくれない。
部屋にいても息が詰まると、外に出た私は真っ直ぐ中庭へと向かった。
屋敷の中にいながら、月が綺麗に見える。
もうすっかり冷え込んだ今の時期に、薄い着物一枚では凍えそうなくらい寒いけれど、
この寒空の下を、紅蓮は今も走っているのだと思うと部屋に戻ろうとは思わない。
吐く息は白く、辺りは静寂に包まれているけれど、その静寂が今の私には心地良いとさえ思った。
「蘭殿?」
そんな心地良い空間に、一つよく通る幼い声が響いて、反射的に肩を跳ねさせる。
「こんな寒空の下、何をなさってるんです?」
「……涼音さん」
「紅蓮様のご心配でも?」
声の方を振り返れば、私より遥かに厚着をした涼音さんが、中庭へと続く廊下から私を見ていた。
「部屋にいても息が詰まるので、少し息抜きに」
それだけ答えながら再び空高く昇る月へと視線を戻した私は、突き刺さるような涼音さんの視線に、
さっきまでの心地良さは一瞬で忘れ、代わりに居心地の悪さを感じる。
部屋にいても息が詰まると、外に出た私は真っ直ぐ中庭へと向かった。
屋敷の中にいながら、月が綺麗に見える。
もうすっかり冷え込んだ今の時期に、薄い着物一枚では凍えそうなくらい寒いけれど、
この寒空の下を、紅蓮は今も走っているのだと思うと部屋に戻ろうとは思わない。
吐く息は白く、辺りは静寂に包まれているけれど、その静寂が今の私には心地良いとさえ思った。
「蘭殿?」
そんな心地良い空間に、一つよく通る幼い声が響いて、反射的に肩を跳ねさせる。
「こんな寒空の下、何をなさってるんです?」
「……涼音さん」
「紅蓮様のご心配でも?」
声の方を振り返れば、私より遥かに厚着をした涼音さんが、中庭へと続く廊下から私を見ていた。
「部屋にいても息が詰まるので、少し息抜きに」
それだけ答えながら再び空高く昇る月へと視線を戻した私は、突き刺さるような涼音さんの視線に、
さっきまでの心地良さは一瞬で忘れ、代わりに居心地の悪さを感じる。