愛し紅蓮の瞳
「姫蓮殿はあの通り、箱入り娘で一度も屋敷を出たことがないと聞いている。多代殿は双葉様に付きっきり……。涼音は西風から共に来た付き人に見張られているのだ。屋敷を出ては怒られる」
残るは私だけ……ってことか。
とは言え、私だって全く土地勘ないし。
屋敷から出たのだって東里家との往復くらいだ。
「双葉様の熱はどんどん上がっている。紅蓮様はまだ西風へ向かって走っておられる頃だろう。……もし、帰るまでに何かあっては遅い。……紅い花が咲く場所は同じ東雲の土地。ここからそう遠くない」
どうする?と、首をかしげて私の返事を待つ涼音さん。ここで紅い花を探しに行かないなんて選択肢は、きっと初めから与えられていないんだろう。
それに、私の頑張りで双葉様が助かるなら……。
「行く。紅い花を探して、絶対持ち帰ってみせる」
行こう。お医者様に診てもらうのは紅い花を煎じて飲ませてからでも遅くない。
急げ、私。紅蓮が屋敷へ戻る前に───。
残るは私だけ……ってことか。
とは言え、私だって全く土地勘ないし。
屋敷から出たのだって東里家との往復くらいだ。
「双葉様の熱はどんどん上がっている。紅蓮様はまだ西風へ向かって走っておられる頃だろう。……もし、帰るまでに何かあっては遅い。……紅い花が咲く場所は同じ東雲の土地。ここからそう遠くない」
どうする?と、首をかしげて私の返事を待つ涼音さん。ここで紅い花を探しに行かないなんて選択肢は、きっと初めから与えられていないんだろう。
それに、私の頑張りで双葉様が助かるなら……。
「行く。紅い花を探して、絶対持ち帰ってみせる」
行こう。お医者様に診てもらうのは紅い花を煎じて飲ませてからでも遅くない。
急げ、私。紅蓮が屋敷へ戻る前に───。