王族の婚姻をなんだと思っていますか!
***


なんて言おうか、迷いながらもやって来た内宮。

この間、途中まで案内されながらも辿り着くことができなかった、ウォル殿下の執務室の前にやって来た。

両脇には、口数は少ないけれど、とても穏やかに微笑んでいる近衛兵を交互に見てから、再度、目前にしているドアを凝視する。

王妃殿下に部屋を出された途端、にこやかに『ご案内いたします』と出迎えられて、ギョッとしたのはついさっき。

王城は、見ていないようで見ているらしいと認識した。

たぶん、彼らは陰から見守るのが常なんだろう。全然気がつかなったことがショックだけど、それはプロだと割りきることにした。

と言うかドキドキする~。なんか心拍数はガンガン上がってくる~。

どうしよう、帰りたい。母上が待つ侯爵家の屋敷に帰りたーい!

「姫、まずは深呼吸をされたらいかがですか?」

なぜか両脇から、同時に同じことを言われて深呼吸をする。

うん。逃げたって、ウォル殿下は追ってくるだろう。

それは確信してる。

ちなみに、両脇の彼らも追ってくるだろう。それもなんとなく予想してる。

よし。これは闘いだ。侯爵家の娘たるもの、闘いを目の前にして、尻尾を巻いて逃げるわけにはいかない。

心の中で“女も度胸”だと、呪文のように唱えながら、自己暗示をかけていく。

そして、ドアをノックした。
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