王族の婚姻をなんだと思っていますか!
目の前には、ウォル殿下のキラキラ笑顔。

今はお昼も過ぎたのに、なんなのこの輝きは!

心拍数はやっぱり上がってくるし、緊張感は拭えないし。

あ、やだ、ちょっと気持ち悪くなってきた。

「……ノーラ? 顔が赤いですし、ぼんやりしているようですが、体調が優れないのなら、離宮に帰った方がいいですよ?」

いつの間にか訝しげにしている殿下に、ハッと我に返る。

「いえ。体調は万全です! こぶも引きましたし、傷も塞がっています」

ハキハキとそう言ってから、デスクの上の書類に視線を向けた。

「お忙しいのではないのですか?」

「ああ。平気ですよ。ちょっとした事後処理です」

事後処理かぁ。そういえば、カヌー家の次男坊は、国外追放されたんだったかな。

先に勘当されていたから、カヌー伯爵家そのものはお咎めなしになったけど、ちょっとおバカさんな次男がいたからって、確かご嫡子様は普通の真面目な方だったはずだもんね。

「そういえば、カヌー家の次男は、どうして先に勘当されていたのでしょう」

ポソリと呟いたら、ウォル殿下は一瞬ポカンとして、それから小さく笑いだした。

「唐突ですね。ですが、答えは簡単ですよ。彼は叩けばホコリが出てきたんです」

叩けばホコリが出てきた?

キョトンとすると、ウォル殿下は頷いて、ニコリと微笑む。

「王宮図書館の司書の立場を利用して、高値がつく蔵書を数冊横流ししていたり、花街では貴族を嵩に着て、乱暴な振る舞いをしていたり……ですかね」
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