君だけをずっと
苦しい
何かが、私の心に刺さってる。
私の初恋の人【こうちゃん】
ずっとずっと会いたかった人
その人が、今目の前にいる人かもしれない・・

そう思うだけで
ドキドキが止まらなくて、手まで震えてきた。

私がこの時、こう思っていることを誰にも気づかれたくなくて
悟られたくなくて

「えと・・佐倉君のお母さん。二階は終わったんですが、他に手伝うことありませんか?」

つとめて明るい感じで訊ねてみた。

「そう?じゃあ、台所の食器棚に食器を入れるのをお手伝いしてもらってもいいかしら?」

お母さんの一言で、再びみんなが動き出した。

動いてないと、いろんなことを余計なことを考えてしまいそうで・・

「あなた、なみちゃんって言うのね?」

「あ、はい。藤野那美って言います。」

孝太郎くんのお母さんに答える。

「そう~。孝太郎が幼稚園の時に仲良くさせてもらってた女の子も【なみちゃん】なのよ。
 だから、何となく私まで懐かしくって。」

ふふ
って孝太郎くんのお母さん笑う。

それを聞いて、私の鼓動が早くなった。

「そう、なんですか。」

知らないふりをして孝太郎くんのお母さんと話をした。
あの時、あの幼稚園に【なみちゃん】と呼ばれていた女の子は私しかいなかった。
【こうちゃん】と呼ばれていた男の子も、一人だけ。

こうちゃんが=佐倉孝太郎くんなら、嬉しいのに。


知恵には、【こうちゃん】の話をずっとしていたから、ばれたくない。


気持ちを必死に隠しながら、黙々と作業を続けた。








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