私の恋した誘拐犯【完】
「…ちーちゃんのお父さんに…頼まれたんだよ」
「…え……?」
「金をやるから……千織を……っ連れてってくれって……っ」
時が止まったように感じるとは、このことだろうか。
全ての音を遮断した耳に聞こえるものはない。
自分の目が何を捉えていたのかも定かではなかった。
自分の手が
足が
何に触れていたかさえ、このときの私は感じることができていない。
「…え……?」
「金をやるから……千織を……っ連れてってくれって……っ」
時が止まったように感じるとは、このことだろうか。
全ての音を遮断した耳に聞こえるものはない。
自分の目が何を捉えていたのかも定かではなかった。
自分の手が
足が
何に触れていたかさえ、このときの私は感じることができていない。