私の恋した誘拐犯【完】
「楽しいから…面白いから無視してたわけじゃない」



「…今更なんだよ」



「今更?…拓巳くんは俺の何を知ってんの?」



俺の言葉に表情を微かに曇らせたその男は、声のトーンを落として言う。



「俺はずっと好きだったよ。…君がちーちゃんに出会うよりずっと前から」



本気だろうことは目を見れば伝わった。



逸らしたくなるほど真っ直ぐなその目は、きっと千織が好きになった1つの理由でもあるんだろう。



「でもちーちゃんはまだ高校生で…」



そっと目を伏せたのにも関わらず、強い感情がギラギラと輝いて。
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