【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


私の言葉を聞くと、センセーは目を丸くした。

気付いてないとでも思ったのか。

いや、白衣を見てなければ気付いてなかったんだけど。





「え、彼女?」

「私、見たんだよ。
熱で倒れた時、センセーの白衣の首元に紅いリップがついてたの」





するとセンセーは白衣を脱ぎ確認してから大きなため息をついた。





「…ちょっと着いてきて」





手を引っ張られあまり人が通らない階段の踊り場に連れて来られた。





「何でこんなとこに…」

「…そのリップ。内海のだよ、多分」





私は普段、リップなんてつけてこない。

校則でメイクは禁止されてるから。


あれ、でも…





「………あ」





つけた。

風邪で倒れた日、唇の色が極端になくてこれでは茉優に心配かけちゃうって思って…


あの日だけつけて来たんだった。





「…私、センセーの白衣に口がつくようなこと…してないよね?」

「そ、…それは」





センセーはばつが悪そうに目を泳がせる。


何だ、その反応は。

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