【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…


「…はぁ」





またも盛大なため息をつく。





「あの日、内海をベッドに寝かせると熱でうなされているみたいだった。
そんな中、時折センセーって呼ぶんだ。何かもう…俺の中で何かが切れて…」





センセーはあの日のことを話してくれるけど、生憎私にはその時の記憶はない。


ほとんど覚えてない。





「俺は…生徒に、しかも寝ている内海に…
キスをした」





頭が真っ白になって上手くセンセーの言葉が聞き取れない。

…え?キスしたって言った?


あれは夢じゃなかったの…?


驚きすぎて何も返せない私にセンセーは本当に申し訳なさそうな顔をする。





「離れようと思ったその時に内海の腕が回ってきて引き寄せられた。
これは多分、それでついたんだと思う」





そして加えてセンセーは





「本当に取り返しのつかないことをした…!
内海の気持ちなんてこれっぽっちも考えず自分のことばっか。

教師としても、…人間としても最低なことをした…本当に悪かった…」





嫌なんかじゃなかったよ。

センセーに彼女がいるんだって思ったら胸が痛くて痛くて仕方なかった。

センセーの特別になりたかった。

< 32 / 127 >

この作品をシェア

pagetop