【完】【短編集】先生、"好き"を消せません…
「…はぁ」
またも盛大なため息をつく。
「あの日、内海をベッドに寝かせると熱でうなされているみたいだった。
そんな中、時折センセーって呼ぶんだ。何かもう…俺の中で何かが切れて…」
センセーはあの日のことを話してくれるけど、生憎私にはその時の記憶はない。
ほとんど覚えてない。
「俺は…生徒に、しかも寝ている内海に…
キスをした」
頭が真っ白になって上手くセンセーの言葉が聞き取れない。
…え?キスしたって言った?
あれは夢じゃなかったの…?
驚きすぎて何も返せない私にセンセーは本当に申し訳なさそうな顔をする。
「離れようと思ったその時に内海の腕が回ってきて引き寄せられた。
これは多分、それでついたんだと思う」
そして加えてセンセーは
「本当に取り返しのつかないことをした…!
内海の気持ちなんてこれっぽっちも考えず自分のことばっか。
教師としても、…人間としても最低なことをした…本当に悪かった…」
嫌なんかじゃなかったよ。
センセーに彼女がいるんだって思ったら胸が痛くて痛くて仕方なかった。
センセーの特別になりたかった。