先生。あなたはバカですか?【番外編SS集】〜君は今ここにいる〜

多分俺は、宮原のこの目に弱い。


3年間、なんだかんだこの子を突き放せないでいたのは、実家で飼ってるチワワのポンにちょっと似てるからかも。


……なんて思うとおかしくて、口元が緩むのを咳払いで誤魔化した。



「まぁ、チョコに罪はないからね」



「ありがとう」と言って、宮原の手から渋々チョコを受け取る。



「ふふ」


「なに?」


「ううん!先生の事、大好きだなーって!」



幸せそうに目を細めて笑みを浮かべる宮原に、不覚にも胸が高鳴る。



この子は、何でこんなにも幸せそうに笑うんだろう?


あの人からはどうしたって引き出せなかったこの顔を、宮原はこうも容易く俺に見せてくれる。


あの時。


あの人の事を一度でもこんな風に笑顔にしてあげられてたら、俺はもうとっくにあの人の事を忘れられてたのかな……。



窓から冷たい風が流れ込んできて思わずぶるっと身震いをすると、宮原はクスッと息を漏らして立ち上がり、ゆっくりと窓の方へ。



「もう先生ってば、人の事言えないですよね!体冷やして寝てるのは先生じゃないですかー」


ゆっくりと窓を閉めていく宮原を、俺はデスクに頬杖をつきながら眺めていた。
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