先生。あなたはバカですか?【番外編SS集】〜君は今ここにいる〜
宮原って、こんなに大人びた横顔をしてたっけ?
出逢った頃の宮原は、髪は肩までくらいしかなかったし、頬も今より丸みを帯びていてもっと子供っぽかった。
それなのに、いつからこんなに大人っぽくなったんだろう?
宮原が風になびく髪を耳にかける仕草に、不覚にも見とれている自分に気がついて、何だかいたたまれない気持ちになる。
「……ねぇ。宮原」
「なんですかー?」
「俺は生徒に手は出さないよ」
宮原の肩がピクリと上がる。
それから、唇を尖らせた顔を俺に向けて、不満そうな声を漏らした。
「はいはい。もうそれ聞き飽きましたよー」
「……そうじゃない」
「?」
俺はこの子に何を言おうとしてるんだろう?
この子にこんな事を言ったって仕方ないのに。
この子の事は大切だ。
だけど、それは生徒としてで、それ以上でもそれ以下でもなくて。
それなのに……。
あの日から。
あの人を手放したあの日から。
ずっと俺の中でくすぶっているこの想いを、解き放つのなら今な気がして……。
「昔ね……好きだった人が教師と恋愛してたんだ」
宮原は、驚いたように目を丸くする。