先生。あなたはバカですか?【番外編SS集】〜君は今ここにいる〜
「先生それ。もう、私を好きって言ってるようなもんじゃないですか」
頬をピンクに染め、ニッコリと笑う嬉しそうな宮原に唖然とする。
「…どうしたらそうなんの?」
「どうやったってそう聞こえましたけど?“宮原の事は好きだけど、過去の出来事が悔しいから認めたくない”。川島語を直訳してみました」
「あのなぁ……」
……いや。待てよ?
確かに、そう聞こえなくもないか……?
「先生に想われていたその人は、凄く凄く幸せだったんでしょうね」
窓に背を預け、思いふけるように瞳を閉じる宮原。
「違うよ。幸せにできなかったんだってば」
「いいえ!絶対に幸せでした。
だって、先生が背中を押さなければ、きっとその人は大好きな人を想い続けるなんてできなかったでしょ?」
宮原のその言葉にハッとする。
「先生がいたから、その人は幸せだったんです」
────涙が出そうになった。
茜色に染まる夕日を背にして、穏やかな笑みを浮かべる宮原は、
あの日から、どうしても動き出せないでいた俺の背をそっと押してくれる。
そして、俺に歩き出す力をくれるのは、
間違いなく彼女の笑顔で────。