また内緒の話
俺がそう言うと来那は
「りつらしい」
と、優しく微笑んでいた
来那が笑うとなんでこんなに嬉しいんだろうと改めて思う
「来那はどこまで俺のこと覚えてるの?」
りつらしいということはまだ前の事も覚えてるのかもしれない
そんな希望を抱いていると
「なんとなく覚えてる」
と来那は答えた
「なんとなく?」
「うん、りつの顔を見ただけで
りつがどういう人かわかるよ
優しくて、暖かくて、私を守ってくれる人」
来那は俺の服の袖をギュッと握る
「でも…りつの顔も
いずれ忘れちゃうんだよね…」
来那のその言葉に俺は思わず
強引に来那を抱きしめた
来那が…俺を忘れる
そんなの絶対に嫌だけど
変わらない現実に俺は来那の温もりを求めた
「……それでも、来那のことは1人にしないからな」
気づいたら俺は涙を流していた
一度流れた涙は滝のように溢れ出て止まらない
来那が愛おしい
来那とこのまま抱きしめ合いたい
なんで…
なんでこの子だけ………