また内緒の話




そして









月日は流れ








5年が経った







そのある日のこと




俺は夢の中に居た






『ねえ、りつ』






夢の中で来那は俺の膝の上に座って居た




『んふふっ』



ニヤリと笑う来那はそのまま何も言わなかった



『なに?』




『もう、忘れません』



『はあ?』





何を言ってんだ?




『ねえりつ、だから起きて』



『……ん?』




俺は激しく揺らされる






お、この感覚は!?





「ねえ律、起きてよ」



来那が布団と俺にまたがり俺の体を激しく揺らす





「………ん?今何時?」





「6時半だよ、律今日も仕事でしょ?」




「んーーありがと」




俺は意識が朦朧とする中、来那を抱きしめる




あーずっとこのまま来那を抱いて居たいな



「もう!そうやってまた寝るでしょ?
早く体起こして!」




俺は来那に無理矢理体を引っ張られ




「あーー襲われるー」



「ねえ、怒るよ?」



「ごめんなさい」







来那は今でも少し怒ると怖い




でもその中にでも確かに優しさはある





俺は立ち上がって洗面所に行き



顔を洗う




そしてリビングの方に行くと




来那が作った朝ご飯が置かれていた



「お、卵焼き〜」



俺は来那の作る料理が大好きだ




「律がこの間食べたいって言ってたけど
結局作んなかったからね」



「よく覚えてたね」



「忘れるわけないでしょ?」







来那は俺にとびきりの笑顔を見せる





卵焼き食べたいって言ったの俺が覚えてないくらい前の話だよな?





さすが来那だよ










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