溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
彼の顔を覗き込んでいると、一旦は閉じていた目をパチッと開いた彼と視線が絡まる。


「心配してくれるんだ」

「もちろんです。お客さまですから」


私が言うと、彼はなぜか悲しげな顔をする。


「そうだよな。金を落としてくれる大切な客だもんな」


彼は自嘲気味に言う。


「あっ、いえ……そういうわけではなくて」


たしかに、大切なお客さまであることに変わりはないけれど、そうでなかったとしても心配するのが普通じゃないの?


「お客さまでなかったとしても、心配です。寝不足でいらっしゃるって……お仕事ですか? あまり無理をなさらないほうが……」

「仕事じゃない」


きっぱりと言い切った彼は、私をじっと見つめたまま視線を逸らそうとしない。


「詮索してすみません。今からでもお時間があるのでしたら、お眠りになられては?」

「眠れないんだ」


今度は弱々しく答えた彼に。目を瞠る。


「眠れない……。それでお酒を召し上がったんですか?」


尋ねると、彼はほんの少しだけうなずいてみせた。
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