溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
なにか悩みでもあるの?


「そのままでは風邪をひきます。シャツの替えをお持ちではありませんか?」


彼のシャツはワインで濡れてしまっている。


「あぁ、ベッドルームのバッグの中だ」


彼はふたつあるベッドルームのうちの片方を指さした。


「入ってもよろしければお持ちしますが」

「頼む」


なんだかまだボーッとしている様子の彼に声をかけ、ベッドルームへと向かう。

すると、ふたつのベッドの間に彼のバッグを見つけ、シャツを取り出し立ち上がると、うしろに彼の気配があって振り向いた。


「あっ、大丈夫なんですね。シャツを……」


彼に手渡そうとすると……。


「キャッ」


強い力で腕を引かれ、そのままベッドに押し倒されてしまう。

な、なに?


「お、お客さま?」

「助けてくれ……」

「えっ?」


弱々しい声でつぶやいた彼は、私を抱きしめたまま動かなくなる。


「こんな人生、ごめんだ」


悲しみを纏ったような声が胸に突き刺さる。
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