溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
突拍子もない申し出にまったくついていけず、カクカクと頷くことしかできない。


「そのあたりはおふたりにお任せします」

「そんなこと言ったって、私はただのハウスキーパーですよ?」


私と大成さんの恋が始まるなんて、ありえないでしょ?


「大成さんがそんなことを気にされる人だと思われます?」


その質問に答えられない。
そもそも家柄や立場を重視する人なら、千代子さんとの縁談を壊したりはしないだろう。


「それでは、お願いしますね。おっと、こんな時間だ。会議がありますので失礼します」


中野さんは私に断る隙すら与えず、会議室を出ていった。


「本気なの?」


思わずつぶやいてしまう。
とんでもないことを背負ってしまった。

どうしよう……。
私はスイートの担当だっただけなのに。ただ、それだけなのに。

中野さんが出ていったドアを見つめて、しばらく呆然としていた。
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