溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「あっ、あの……」


なにがあったんだろう。

男の人に、ベッドに押し倒され抱きしめられているというとんでもない状況にアタフタしつつも、苦しげな彼のことが気になって仕方ない。


「お客さま」

「八坂(やさか)だ」

「はい、八坂さま。私でできることがあれば……」


『助けてくれ』と悲痛な声でつぶやいた彼は、なにを抱えているのだろう。

本来、お客さまのプライベートに足を突っ込むなんて許されることではない。
けれど、どうしても放っておけない。

私が言うと、彼はやっと手の力を緩め、離れていく。


「すまない」


彼はベッドを下り、床に座り込んだ。
まだ少し酔っているのだろう。


「とにかくお着替えください」


抱きしめられた余韻でまだドキドキが止まらない私は、それを隠すように必死に平然とした顔を作り、彼にシャツを渡す。
ベッドルームを出ていこうとすると、彼に腕をつかまれてしまった。
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