溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
食洗器があるので、洗えないフライパンやボール、ガラス製のコップなどを手洗いするだけでいい。
そう言ったのに、彼は首を振る。


「澪と共同作業したいんだ」

「共同作業って……」


彼の発言に目をパチクリしてしまう。
披露宴でウエディングケーキに入刀するとき『夫婦初めての共同作業です』なんて煽るのを思い出してしまったからだ。


「澪が見ている景色を俺も見たい。澪が楽しいことは俺も経験したいし、俺がうれしいことは澪に分けてあげたい。そういうのって変?」

「そんなことは……」


『変』どころかうれしい。
でも、それってやっぱり、恋人や夫婦でするものであって……。


「それじゃ、いいだろ? ハウスキーパーもするんだから、慣れないと」


そうだった。


「その話、本気ですか?」

「もちろん。ほら、早く洗うぞ」


軽く『もちろん』と返事をした大成さんは、社長のイスに座るかもしれないというのに客室清掃なんて、抵抗はないのだろうか。

そんなことを考えながら、コップを洗い始めた。
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