溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「私は嘘はつきません」

「そうか……」


さっきよりは酔いがさめているように見える。
八坂さんはソファに座った。


「ワイン、もう一本開けてくれないか?」


まだ飲むつもり?


「いえ、お出ししません。飲みすぎです」

「ワインを客が開ければ、ホテルは利益が上がるだろ?」


その通りだ。
しかもエグゼクティブスイートに置かれているワインは、とてつもなく高い。


「だとしても、お出ししません」


なにがあったのかは知らないが、酒の力を借りてつらさをごまかしたってなんの解決にもならない。
そのうち酒に飲まれてしまう。


「客の要望を聞けないのか?」

「聞けません」


一介のハウスキーパーが、一泊何百万もするこの部屋に泊まってくださるお客さまに、こんな口をきいていいわけがない。
でも、これ以上飲ませられない。


「お客さまの安全を確保するのも、私たちの仕事です」


思いきって言うと、彼はほんの少し口元を緩める。
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