溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「そっ、か……」

「少しお休みになられては? 今はお酒より、休息なさったほうが……」

「タイムリミットなんだ」


どういうこと?


「お仕事、ですか?」

「いや……」


八坂さんは深いため息をひとつつき、私をじっと見つめる。


「もうすぐ俺の人生が勝手に決まる」

「勝手にって……」


目を丸くしていると、彼は再び口を開く。


「誰かよくわからない女と結婚するらしい」


『らしい』って……。
しかも、『誰かよくわからない』って……。

頭が混乱して、すぐにはなにも言えない。


「政略結婚ってやつだ」

「そんな……」


彼は地位ある人なんだろう。
そうでなければ、こんなに高い部屋に連泊なんてできない。

だけど、仕事のために自分の結婚を犠牲にしなくちゃいけないの? 上流階級って、そんな世界なの?


「やめられないんですか?」


私は思わず口走っていた。

すると彼は眉根を寄せ、苦しげに言葉を吐き出す。
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