溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
いつの間にか没頭してしまい、最後の一音を終えたところで指を離すと、フワッとうしろから抱きしめられて、ビクッと震える。


「素晴らしかったよ、澪」

「あ、りがとうございます」


こんな拙い演奏を『素晴らしい』と言ってもらえるなんて、幸せだ。
しかし、彼がなかなか離してくれないので、カチカチに体が固まってしまう。


「大成、さん?」

「澪とこうしていると、長い間の積もり積もった鬱憤がどんどんなくなっていく」


そう、なの?


「どうしてですか?」

「どうしてだろうな。澪と出会って、心が解放されたからかな」


耳元で囁かれ、私は彼の腕を思わず握ってしまった。


「私、大成さんの笑顔、好きですよ?」

「澪……」

「大変なこともあったかもしれません。ううん、これからもあるかも。でも、楽しいこともいっぱい経験しましょうよ」


そう言うと、彼の腕に力がこもる。
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