溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「はいはい。西條さん」


すると大成さんはイジワルな視線を私に送る。
イヤな予感がする。

彼はシーツの小さなしわを伸ばすと、セミシングルのベッドの反対側にいた私の腕をグイッと引く。


「キャッ」


あっという間に私を組み伏せ、上から顔を覗き込む。


「いいね、この体勢」


ち、ちょっと!


「八坂、さん!」


慌てて仕事に戻ろうと声を上げると、「冗談だよ」とつぶやく。


「でも、もう限界。これくらい許してくれ」


けれど、真剣な顔をした彼はそのまま私を抱きしめた。
仕事中にこんなことをしちゃいけないとわかっているのに……彼の腕の中が温かくて、思わずしがみついてしまう。


「ダ、ダメ!」


しかしハッと我に返って彼の胸を押すと、やっと離れてくれた。


「……シーツ、掛けなおしです。私は先にスイートに行ってきます」

「かしこまりました。西條さん」


私は振り向きもせず部屋を出た。
速くなりすぎた鼓動を鎮めるために胸に手を当ててみたものの、それくらいではどうにもならない。
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