溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「申し訳ありません。でも、あきらめないといけないことって、ごまんとあるんです。あらがうことすら許されないことが、いっぱい……。ですが、八坂さまはまだそれができる」
こんなことを言ったら、最悪殴られるかもしれないと思った。
それなのに彼は、私の肩に置いた手の力を緩め、やがて離した。
「西條さんか」
彼は私のネームプレートを見てつぶやく。
クレームを入れられて、クビ、かな。
それでも、言わずにはいられなかった。
「西條さんは、そんなことがあったの?」
逆に質問されて、驚いてしまう。
「私は……小学校五年生のときに父と母が離婚して、高校生のときに私を育ててくれた母も病気で亡くしました。物心ついた頃からピアノを習っていて、音大に行ってピアニストになるのが夢でした。でも、経済的にピアノを持つことすらできなくなり……その道は断念しました」
こんなことを言ったら、最悪殴られるかもしれないと思った。
それなのに彼は、私の肩に置いた手の力を緩め、やがて離した。
「西條さんか」
彼は私のネームプレートを見てつぶやく。
クレームを入れられて、クビ、かな。
それでも、言わずにはいられなかった。
「西條さんは、そんなことがあったの?」
逆に質問されて、驚いてしまう。
「私は……小学校五年生のときに父と母が離婚して、高校生のときに私を育ててくれた母も病気で亡くしました。物心ついた頃からピアノを習っていて、音大に行ってピアニストになるのが夢でした。でも、経済的にピアノを持つことすらできなくなり……その道は断念しました」