溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
浴室から出てきた彼は、私がシーツを直しているのを見て口を開く。


「ここの仕事、勉強になるな」

「えっ?」

「なんでもない。腹減ったな。弁当食べよう。メインはなに?」


さりげなくシーツのしわを伸ばしてから部屋を出ていく大成さんは、客室掃除、合格点だ。


「エビフライ」

「おっ、楽しみ」


この人も大きな会社の跡取りなんだけど……佐藤さまとまったく違う姿が、なんだか誇らしかった。


佐藤さまの一件はマネージャーの耳まで届いた。
部屋のグレードアップを覚悟していたチーフが、大成さんが説得したと聞いて、目を丸くしてマネージャーのところに飛んでいったのだ。


大成さんの素性を知っているマネージャーは、彼に頭を下げたらしい。
マネージャーも日々エスカレートする佐藤さまの要求に頭を悩ませていたからだ。

だけど、「皆、これくらいのことでなんでそんなに驚くんだ」とつぶやいた大成さんが、とても頼もしく思えた。
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