溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「それに聞いてよ! アロマ炊いた人がいて大変だったよ」


百花は少し怒り気味。

匂いと言えばタバコがすぐに思いつくが、アルカンシエルは禁煙室、喫煙室が完全に分けられているので問題はない。
だけどアロマに規則はない。

いくらいい香りでも、人によっては不快となる。
私たちの仕事は、部屋を入室前に戻すことだ。

匂いも然り。
匂いは、汚れをとるより厄介なのだ。


「消えた?」

「うんうん。換気口と換気扇全開で二時間。掃除を始めるのが遅かったら、間に合わなかったわよ」

「そっか。大変だったんだ」


土曜の今日は満室に近い。
ひと部屋減るのは痛手になる。
突然の予約もあるからだ。


「そういえば……」


私はお客さまの忘れ物を入れてあるボックスから、とあるものを取り出した。


「なに、これ!」


百花がそれを手に取り、驚いている。


「五年目にして初めてだったわ、離婚届の忘れ物」
< 3 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop