溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
ツインルームのテーブルに無造作に置かれていて驚いた。
ふたりの名前が記入してあり、捺印もある。

慌ててフロントに確認したけれど、チェックアウトしたあとで、未だ連絡は取れていないようだ。


「夫婦最後の日……だったのかな」


百花がため息交じりにつぶやく。


「だけど置いてあったっていうことは、踏みとどまったのかもしれないじゃない」

「そっか……」

私が言うと、百花は小さくうなずいた。


忘れ物は毎日山のようにある。

スマホは一日にひとつでは済まないし、会社の大切な書類は当たり前のように毎日見つかる。
過去には母子手帳もあった。
それに……怪しげな薬があって警察が出動したこともあったし、あとはよくあるのはショーツだ。

スマホや書類は取りに来るお客さまも多いが、さすがにショーツは恥ずかしくて取りにこられないだろう。

それでも、ごみ箱に入っていなかったものは忘れ物として保管される。
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