溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
慌ててベッドから飛び起きると「チェッ」と悔しそう。
でも、その拗ねた様子がおかしくて、お腹から笑いがこみ上げてくる。

笑えてる。私、あんなことがあったのに、ちゃんと笑えてる。

きっとこれも彼がいてくれるおかげだ。

結局朝ごはんはまたパン屋になってしまったけれど、昨日までと変わらず彼と一緒に食事を食べられるのが幸せだった。


それから彼にホテルまで送ってもらい、更衣室へと向かった。

昨日のパーティで、私がアルカンシエルのハウスキーパーであることがバレてしまったので、その場にいたボーイなどから私の噂が一気に広まってしまったらしく、皆の視線が一気に集まる。


「ちょっと! 西條さん、聞いたわよ」


すごい勢いで私のところに駆け寄ってきたのは、清水さんだった。


「まさかねぇ。八坂さんが“あの"八坂さんだったなんてね。私たちすごい人と話してたんだね」


彼女は鼻息荒く興奮気味に話す。
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