溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「中野。コーヒーを頼んでくれ」

「かしこまりました」


中野さんが電話をかけている間に、「座りなさい」とソファを勧められてしまい、恐縮しながら腰かけた。


「西條さん、だったね」

「はい」

「きみの清掃は、かなりレベルが高いとマネージャーに聞きましたよ」


そんなことをマネージャーが?


「まだ至らないところばかりです」


この仕事に真剣に向き合ってきたつもりだけど、まだまだだ。


「いやいや、大成もそう言ってたよ。アルカンシエルの客室清掃の質は本当に高くて、その中でもあなたの能力は突出していると。フランスの老舗ホテルとの提携の際には、清掃のレベルの高さを前面に押し出したようです」


そう、だったの? それは初耳だ。

だけど、お父さまの口からするっと大成さんの名前が出て、ちょっとホッとしていた。
もしかしてまだ仲が悪いのではないかと心配していたからだ。
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