溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「はい。今、ルームレポートを書き終わりました」

『中野さんから聞いたよ。俺と一緒にホテルに泊まりたいんだって?』

「えっ……えーっと、そう」


中野さん、大成さんになんて伝えたのよ。

実はさっき中野さんに、大成さんとお父さまに親子としての時間を持たせてあげてほしいとお願いしたのだ。
アルカンシエルに宿泊するお父さまの部屋に、大成さんを送り込んで、今までの誤解を解消できるようにと。


「中野さん、一緒ですか?」

『あぁ、隣にいるよ』

「代わってください」

『なんだよ。冷たいな』


彼は渋々ながらも電話を代わってくれた。


『中野です。おっしゃりたいことは、よくわかっております』


先手を打たれた!


「相手が私じゃないとわかったら、大成さん、怒ると思うんですけど……」


中野さんにお願いしたとき、『私がうまく伝えます』と言ってくれたから任せたのだ。
てっきり説得してくれたと思っていたのに。
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