溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
『西條さんが一番ご存じでしょう。大成さんが頑固なこと』

「それは……」


そう言われると言い返せない。


『本日、二十一時頃にお部屋にお送りします』

「……はい。お願いします」


はぁ、あとでこっぴどく叱られそうだ。
ドキドキしながらアルカンシエルをあとにした。


家に帰って家事を済ませても、ソワソワして落ち着かない。
もうすぐ二十一時だ。

テーブルの上のスマホをじっと見つめながら、大成さんの怒った姿を想像する。
だけど、どうすることもできず、落ち着くためにピアノを弾こうとした瞬間、スマホが震えた。


「もしもし!」

『中野です。西條さん、声が少々大きすぎるのですが』

「すみま、せん」


この電話を待っていたのだから、大きな声も出るでしょ?


「それで、大成さんは?」

『えぇ、思いきりにらまれました。ですが、本日はアルカンシエルに泊まるそうですよ』

「ホント、ですか?」
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