溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
『助けて』という彼の弱々しい声が耳から離れない。

私が勇気を出せば彼が助かるのなら……頑張るしかない。
魔法が解けるまでは、シンデレラでいよう。

私は大きくうなずいた。


それから彼に手を引かれ、エレベーターホールに向かった。


「あれ、澪?」


すると、百花が驚いた様子で駆け寄ってきた。


「百花、こんなところでどうしたの?」

「私はお客さまに貸衣装を返却するように頼まれて……。それより、澪よ! こんなにきれいになって……」


たしかに、私がドレス姿でここにいるほうがおかしい。


「うん。ちょっと……」


どう説明したらいいのかわからず言葉を濁すと、彼女は目を丸くしながら、隣の大成さんを見上げている。


「百花、ごめん。私、スイートにカート置いたままなの」

「うんうん。お客さまから連絡が来て、澪は早退だからってチーフが言うから、片付けたよ。なにがなんだかわかんないんだけど?」


私もわかんないよ。
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