溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「澪がお世話になっているようで」

「いえいえ、私がお世話になってます」


大成さんが口を開くと、百花は唖然としながらも恐縮している。


「まさか、澪の彼、ですか?」

「そうです」


自信満々の大成さんの答えに、百花は軽く固まっている。
彼氏はいないと言っていたから無理もない。
本当にいなかったわけだけど。


「澪、いつの間に?」

「違うの。あの……ごめん。今は時間がなくて、また今度説明する」


とはいえ、うまく説明できる自信はまったくない。


「すみません。先を急ぎますので」


大成さんは百花に丁寧に頭を下げ、再び私の手を引きエレベーターに乗り込んだ。


やがて一番大きな宴会場がある十五階に到着してドアが開くと、緊張が走る。


「行くぞ」

「……はい」


私は心臓が激しく暴れ出したのに気づきながら、覚悟を決めた。
< 35 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop