溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「どの人も、誰かが失敗して失脚していくのを心待ちにしている」

「そんな……」


誰かが失敗したら、助けるのが普通じゃないの?

少なくともハウスキーパーの世界はそうだ。
誰かが体調を崩して休めば、皆で分担してその人の穴を埋めるのは当たり前。
それなのに……失脚するのを待っているなんて、ありえない。

初めて大成さんの悩みの深刻さに触れた気がした。


「大成さん」


驚きのあまり呆然と立ち尽くしていると、立派な紳士が大成さんの名を呼び、近づいてくる。

大成さんよりずっと年上の白髪交じりの人は、サイズぴったりのスーツに、赤のタイ。
そしておそろいのポケットチーフ。

隙のない身なりをしたその人は、大成さんと同じように上流階級の人だろう。


「お久しぶりです。帰国されたとお聞きしまして、是非アメリカの話をお聞きしたいと……」


彼はチラッと私に視線を送ってから、大成さんに話しかける。
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