溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
ホテルでは、様々な人間模様が垣間見える。

もちろん観光や仕事のために利用される人も多いけれど、人生の節目に非日常——つまり特別感を楽しむために訪れる人もいる。
誕生日や成人のお祝い。還暦や喜寿の記念もあるし、結婚記念日も。

どのお客さまにも、記憶に残る一日を過ごしてほしいと思いながら仕事をしている。


「でもスイートを任せられるなんて、さすが澪だね」


私が二十四階のエグゼクティブスイートを任せられるようになったのは、一年ほど前からのこと。

もちろん、どの部屋もお客さまに失礼がないように隅々まで掃除しなければならないけれど、スイートは特に気を遣う。

他の客室とは比べ物にならないほどの料金をいただいているし、アルカンシエルとしても上お得意さまのことが多いから、絶対に粗相は許されない。


スイートの中でも最上級のエグゼクティブスイートは二部屋のみで、二百平方メートルを超える部屋の広さと、目の前の海を一望できる景色のよさは、圧巻としか言いようがない。
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