溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
でも、お父さまに殴られた左頬がうっすらと赤くなっているのが気になってしまい、思わず頬に触れてしまった。


「……大丈夫ですか?」

「大丈夫。巻きこんで悪かったな」

「本当、ですよ……」


安心したら、愚痴が口をついて出た。

まさかここまで大ごとになるとは思ってもいなかった。
パーティに行って、彼の思い人のフリをちょっとするだけでいいと高をくくっていた。


「悪い」


彼は謝罪の言葉を口にしながらも、微笑む。
やっと笑ってくれた。
あんなことがあったのに、なんだか晴れやかな気持ちなのは、彼の顔から暗い影が消えたからかもしれない。


「行こうか」

「えっ、どこに?」

「俺ん家」


今、なんて言ったの?


「えっ!? 私は……」


大成さんは戸惑う私の手を強引に引き、タクシーに乗せる。

私はわけがわからないまま、彼に従うしかなかった。
それは、彼の恋人ではないことが、誰かに感づかれてはまずいと思ったからだ。

とにかくホテルを離れたかった。
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