溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
昼間は海から陸地に向かって吹く風も、夜になると逆転する。
その風の動きは、夕方一瞬無風となる。“凪”と呼ばれるその時間は、自然の偉大さを感じるから好き。

海の近くで働いている私のちょっとした楽しみだ。


やがて風が逆転すると、街にネオンが灯りだす。
すると、エグゼクティブスイートの大きな窓から見える夜景は、お金に代えがたいほどのきらめきを放ち始める。

街のネオンは一色ではない。
まるでクリスマスツリーのように、街全体が装飾されているかのよう。

そして、別の窓から海を眺めれば、近くにある灯台が照らす光が時折波に反射してキラキラと幻想的で、遠くに往来する船の明かりもうっすらと見える。

時々ある二十二時までの夜勤のとき、しかもお客さまに用事を言いつけられ部屋に入ったときにだけしか見られないあの夜景も、毎日、アルカンシエルのスイートに宿泊する誰かが楽しんでいる。
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