溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
それら全部をひとりじめできる贅沢な空間は、私にとっては高嶺の花。
この仕事に就いていなければ、一生入ることのない部屋だったに違いない。


「地道にやってきただけだよ」


就職して最初に掃除方法のレクチャーを受けた。

いつもピカピカのホテルでは、絶対に特別な洗剤を使っているに違いないと思っていたのに、そうでもなくて驚いた。
毎日の細かい掃除の積み重ねできれいな状態を保っているのだ。


それを知ってから、先輩の掃除の技を見て盗んだ。

金属性のタオルをかけるバーなども抜かりなく磨いておくと、より一層美しさが際立つことも知った。
指紋をつけずに掃除するのは基本中の基本で、髪の毛一本も残さないように細心の注意を払いながら清掃していた。

自分なりに頑張っているうちに認めてもらうことができ、やがてスイートルームも任せられ、今に至る。


「西條さん、いる?」


休憩室のドアが開いて、チーフが顔を出した。
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