溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「周りのヤツらは、俺に遠慮ばかりして本音は言わない。裏で陰口を叩いている。唯一、心を許せるのが中野さんだった。でも澪は、そんな俺の心にすごい勢いで飛び込んできた」

「それは私が世間知らずだからで……」


今思えば、スイートの大切なお客さまに向かって、よくあんなに生意気な口を聞けたと思う。
だけど、あのときは彼にあきらめてほしくなくて必死だった。


「世間知らずだろうがなんだろうが、俺には最高に効いたんだ。ズバッと自己主張できる女って、美しいと思った」


彼はそこまで言うと、ようやく腕の力を緩めてくれる。
しかし、イケメンに抱きしめられた余韻で心臓をバクバク言わせている私は、うつむいた。


「俺は澪に救われた。だから、澪の願いも叶えてやりたい」

「私の願い?」

「うん。澪の奏でるピアノが聞きたい」


彼は優しく微笑むけれど、他人に聞かせられるような腕を持っているわけじゃない。


「ブランクがありすぎて……」

「でも、指は動かしてるんだろ?」

「はい」
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