溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
けれど、つい数時間前に出会ったばかりの人に、そんな高価なものを買ってもらうわけにはいかない。
しかも、ここで弾くということなら、通わなければならなくなる。


「いえ、本当に結構です。今日だけ泊めてくだされば十分です」


そもそも、赤の他人なのだから。


「そういうわけにはいかないよ。だって澪は俺の好きな人なわけだし、大切な婚約を破棄してまで、一緒にいたいと願った人だし……」


それは演技でしょう?


「そんなこと言っても……」

「あんな大勢の前で宣言したんだから、今さら嘘ですとは言えないだろ」


それはそうだけど……。


「澪を巻き込むって言ったじゃん」

「あ、あの、具体的には?」


助けられるものなら助けてあげたい。
でも、『巻き込む』の内容次第だ。


「しばらくは、俺の新しい婚約者として振舞ってもらうよ」

「は?」


なに、言ってるの?
< 68 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop