溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
こっそり応援するくらいのことかと、高をくくっていた。
それなのに、婚約者って!


「あれ、そのつもりじゃなかった?」


私は二度大きくうなずく。


「よく考えてみなよ。婚約破棄したってことは、他にそれほど想う人がいるってことだ。結婚するつもりの人が」


そう言われると返す言葉もない。


「その女が、あの場にいた澪だってこと」


大成さんは、いたずらっ子のようにニッと笑うが、私はちっとも笑えない。


「だって!」


どう考えたっておかしいでしょ?
彼は私の勤めるホテルのトップに立つ人。私はただのハウスキーパー。
立場が違いすぎるじゃない。


「なにが『だって』?」

「なにがって、そもそも大成さんと私が知り合うことなんて、ありえないですし」

「今日、知り合ったじゃないか」


む、むむむ。たしかに。


「将来の社長が、ハウスキーパーに心奪われるなんて、おかしいですよね?」

「そうかなぁ。なんのしがらみもなく、愛だけで結ばれた男と女。これぞ純愛って感じで、ドラマティックじゃない?」
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