溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
「はい、なんでしょう」

「エグゼクティブスイートのお客さまがワインをこぼされたみたいなんだ。頼める?」

「わかりました」


連泊の予定のお客さまだ。
私は掃除のカートを持って、さっそく二十四階へと向かった。


——トントントン。

どれだけノックしても中から返事がない。今呼ばれたばかりなのにおかしい。

もう一度ノックしようと手をかざした瞬間「ガシャン」というなにかが割れるような音が聞こえた。


「お客さま?」


ドア越しに声をかけても誰も出てこない。


「お客さま、どうかされましたか?」


何度もノックを繰り返し大きな声で問いかけてみたものの、なんの反応もない。
なにかあったのかも。

慌ててマスターキーを取り出して開ける。


「お客さま、ハウスキーパーです。失礼、します……」


入り口で一応声をかけたものの、やっぱり返事はない。

恐る恐る中に入っていくと、メインルームのテーブルの上に開けていないワインのボトルが見える。
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