溺甘スイートルーム~ホテル御曹司の独占愛~
私が見惚れていると、彼が近づいてきてなぜか熱い視線を送ってくる。


「やっぱり澪はきれいだ」


彼はそんなことを口にしながら、私の頬に優しく触れる。
するとたちまち心臓が暴走を始めるから困ってしまう。


「送ってく。行こうか」


なにを言われるかと身構えたが、ただそれだけだった。
それだけって、私はなにを期待していたのだろう。

だけど、あんなに熱い眼差しを向けられたら、誰だってドキドキするでしょ?


「あっ、駅を教えてくだされば、ひとりで——」

「行くよ」


大成さんは私の話を華麗にスルーして、スタスタと足を速める。
実にマイペースな人だ。

私は彼のあとを慌てて追いかけた。


エレベータを待っていると、隣の玄関も開いて男性がひとり出てきた。


「おぉ、さっきはサンキュ」


大成さんは親しげに話しかけている。

あれ……この人が社長さん? 
デザイナーもしていると聞いたので、勝手に女性だと思っていたが、男性だった。
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