私の上司はご近所さん
「百花」
「……?」
彼の腕の中でまどろんでいると、私の名を呼ぶ声に気づく。瞳を開けると、程よく鍛えられた胸板を惜しげもなくさらしている千秋さんの姿が目に映った。
あ、そうだ。私たち……。
つい先ほどの、甘く情熱的な行為を思い出し、頬が火照り始める。
「送るよ」
「あ、はい」
まだまだ幸せなひとときを一緒に過ごしたい気持ちを抑えると、ベッドの上で体を起こした。
下着と服は寝室の床に散らかったまま。リビングから寝室に移動して、逸るようにお互いを求め合った形跡が恥ずかしい。
シーツであらわになった体を隠すようにベッドから抜け出ようとすると、千秋さんに後ろから抱きしめられた。
「帰したくない」
さつき通り商店街では触れ合わない。千秋さんのウチには泊まらない。そういうルールを決めたのは千秋さん自身。それなのに、まるで駄々っ子のようなことを言い出す彼がかわいい。
「私も……帰りたくないです」
振り返ると千秋さんの頬にくちづけを落とす。すると彼の腕に力がこもり、簡単にベッドに押し倒されてしまった。