PMに恋したら
「俺を知ってほしいとは言ったけど、知れば知るほど実弥の理想と違ってがっかりするかもしれない」
「そうですね。良いところも悪いところも、意外だと思うことはあります。でもダメなシバケンももっと知りたい。私に弱いところを見せてもいいんですよ」
そう言うとシバケンは照れたように笑った。私も顔が赤くなるのを感じた。自分があまりにも正直に思ったことを言ってしまって恥ずかしくなる。
「仕事の愚痴を言っても?」
「それは……少しなら」
私だって仕事の悩みはあるのだ。シバケンがそれを吐き出すのなら受け止めてあげる方がいいに決まっている。
「最近仕事も前よりやる気出てきてるんだ。実弥のお陰」
「そうなんですか?」
「そう。実弥にかっこいい警察官、かっこいい男って思われていたいから」
またもシバケンは照れている。
「昇任試験を受けるんだ。階級上がるように頑張るから」
「はい。応援します」
私は特別何もしていないのにシバケンのやる気につながるのなら嬉しい。シバケンの昇進は私にとっても大事だ。出世をすれば父がシバケンのことを認めてくれるかもしれない。
「今から行って平気かな?」
「え?」
「実弥の家にだよ」
「ああ……」
そうだ、うちに来て父に挨拶したいと言っていたっけ。
「もうすぐにでも知ってもらいたい。俺がどんなに実弥を大事にしてるか」
嬉しい言葉だ。けれど不安は残ったままだ。
「でも……まだ坂崎さんがいるかもしれません……」
朝から来てまだ家にいるとは限らないけれど、可能性はゼロじゃない。私が帰るまで坂崎さんを家に待たせておくくらいのことは強引な父ならやりかねない。
「じゃあ尚更行かなきゃね」
きっぱり言い切った。シバケンを見ると吸い込まれそうなほどに真剣な顔だ。