四面楚歌-悲運の妃-
「そのように警戒なぞせずとも、食って掛かったりはしませんよ。
私は他ならぬ軍妃将軍の家令なのです。
貴女の事をなにも知らぬでは、いざという時になにもできません。
この後宮での戦いは武器を交えるだけではない、私にも補佐出来る戦いがあるだけの事です。」
探るような顔をしてしまっていたのか、劉内侍は少し呆れたように言った。
頼もしい限りの発言だが、本当の真意は落ち着かない私を紛らわせるためだろう。
掴めぬ家令ではあるが、私が帰るように急かしても居座るという事はそうなのであろう。
頭が切れる宦官だ、私の為にならぬ事をするような者ではないだろう。
劉内侍のおかげなのか、せいであるのか、居座られているおかげて気が紛れ落ち着いてきた。
その様子を見て、劉内侍は笑みを浮かべた。
「して、ここにいる了承も得たことですし、本日の警護の状況を私にも教えて頂けませんか?」
あれ以上に何も言わない私に、居座る許可を得たと判断したらしい。
間違いではないが、切り返が早い。
ここにいる許可をしたのだし、話してはならぬ事でもない。
知って何になるわけでもするわけでもないが、聞きたいのだろう。
本日の警護は黄麟殿・皇后宮合わせて約70名でおこなわれる。
いつも幾分多いのは、柳将達がいるからだ。
軍女や近衛や軍妃官の配置人数に対しては私が決めたのではないが、柳将達が戦いきれないかもしれない場合を考えて配置するようにと頼んだ。
結果この人数となった。